奈良が大好き、キタローです。
大仏殿の前に、金銅製の八角灯籠があります。これは東大寺創建当時のもので、日本最大(約4.8m)かつ最古の金銅製の灯籠で、もちろん国宝です。八面の火袋のうち四面には音声菩薩(おんじょうぼさつ)が、扉の四面には雲中を走る四頭の獅子が、それぞれ菱格子の透し地に浮彫りされています。
音声菩薩が持つ楽器は横笛(西南)、尺八(西北)、鈸子(東北、ばっし、シンバルを小型にしたような楽器)、笙(東南、しょう)で、しなやかな体つき、楽器を執る腕先と胸のあいだの遠近感、風を受けてなびく天衣(てんね)など、すてきな意匠ですね。
兵火で二度も大仏殿は焼失しているのに、この灯籠は奇跡的に残ったのです。創建当初の貴重なものですから、少し時間をかけて、拝見しましょう。
八角灯籠は、当初何色だった?
「答え」 光輝く金色でした。
いわゆる金銅製で、銅で灯籠を作り、その上に金メッキを施しました。今は深い緑色ですから、ずいぶんと雰囲気が違ったのですね。
音声菩薩は東西で色が異なる。その理由は?
「答え」 東北の鈸子と東南の笙はレプリカだからです。
東北の鈸子は、1962年に盗まれ、すぐに発見されたものの、上下の縁と右上方を欠損していたそうです。このため、合成樹脂仕上げのレプリカを制作し、はめ込んであります。盗難にあったオリジナルは東大寺ミュージアムの入口付近で常設展示されていますので、ぜひご覧ください。このオリジナルには金メッキの金が残っていますよ。また、東南の笙は、1933年の修理の際に取り外されて、他のところで保管されているとのことで、今見ることができるのはレプリカです。
大仏殿が炎上したにもかかわらず、この八角灯籠が溶けなかったの?
「答え」大仏殿よりも一段低いところに設置されていたからだと思われます。火力は上方に強く、下方には弱いですよね。